アスリート
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引退後のセカンドキャリアについて悩んでいるんですが、
誰に相談するのがよいのでしょうか

アスリートが引退後のキャリアで悩んだとき、
一般的には、家族や友人、先輩など身近な人に相談することが多いようです。

けれども、セカンドキャリアの悩みだけでなく、
なにか悩みがあるとき、「誰に相談するか」はとても重要なポイントです。

なぜなら、相談した相手によって、導かれる結果が大きく違ってくるからです。

引退後のキャリアは、誰に相談するとよいのか

まずは、引退後のキャリアについて相談する相手をリストアップしてみると、

・家族
・友人
・監督、コーチ、先輩
・同じ経験をしている人
・自分が尊敬、信頼している人
・アスリート向け人材紹介会社の人

このような相談相手があげられます。

誰に相談するかによって、それぞれメリットやデメリットがあるので、
それらを理解したうえで相談するとよいです。

それでは、1つ1つ解説していきますね。

・家族に相談した場合

他人に知られたくないことは、家族に相談するのが適しています。
ただし、家族は最も「利害関係がある人」。

利害関係がある人に相談した場合、相談された人は「自分の立場」「自分の身を守る」必要があるため、100%相談した人の立場で相談にのることが難しくなります。

例えば、妻子あるアスリートが、引退後のキャリアについて妻に相談した場合、夫が引退するということは職を失うことなので、どうしても家庭や子供を守ることが、優先されがちです。

・監督、コーチ、先輩に相談した場合

監督、コーチ、チームの先輩などは、日頃の関わりが強いため、あなたのよき理解者であることがメリットです。

ただし、家族と同じく、チーム関係者は、利害関係にあります。
あなたがチームを離れることで何らかの影響を受けるため、チーム事情を優先したり、相談された人が自分の感情や考えを優先しがちです。

チーム関係者もまた利害関係にあるため、相談にのる際に「自分の立場を守る」という意識が働いてしまうことがデメリットになります。

・友人に相談した場合

家族やチーム関係者のような利害関係がなく、家庭の事情、チーム事情よりも、本人寄りの立場で相談にのってもらえることが良い点です。

けれど、友人の場合は、相談した相手のタイプに影響される点が懸念されます。とくに、何事にも慎重な性格、否定的な性格の人に相談した場合、消極的な選択に偏りがちです。友人に相談したことで、決断が揺らいだり、迷いが深まったりすることもあります。

また、自分の経験、価値観を押し付けるタイプの友人に相談した場合、あなたが自分の価値観ではなく、友人の価値観で選択をし、のちに後悔することもあり得ます。

・同じ経験をしている人に相談した場合

少し前に引退した選手、同じ悩みを経験したことがある選手へ相談した場合、気持ちを理解してもらえたり、経験からの助言がもらえるところが利点です。

ただし、同じ経験をしている人に相談した場合、その人の経験による「アドバイス」が中心になりがちです。同じ経験をした人の意見を聞きたいときには、有効ですが、あなた自身が「主体的に自分で考える」ことや、「自分の価値観に照らし合わせた選択」が、できにくくなります。

相談した手前、その人の助言に従わなければという意識も強く働きやすくなります。

・尊敬、信頼している人に相談した場合

あなたが信頼している人や尊敬している人に相談する場合、すでに意思が決まっていて背中を押してほしい時には有効です。

一方で、デメリットとしては、その人の意見に流されたり、強い影響を受けやすくなったりすることです。とくに自分の考え方に近い人に相談した場合、「自問自答」する機会が得られず、視点を変えて検討することができないまま、決断することになってしまいます。

・人材紹介会社の人に相談した場合

近年は、アスリートに特化した人材紹介会社も増えています。最大のメリットは、「就職先を紹介してもらえること」です。

ただし、人材紹介会社を利用する際は、注意が必要です。

「自分が何をしたいかわからない」「どんな仕事に向いているのかわからない」という段階で利用すると、それらが未解決のまま、あなたの意向に沿わない、その人材紹介会社がもっている「求人案件」の中から、あなたにできそうな仕事を紹介されます。

「自分が何をしたいのか、何に向いているのか、わからない」と相談しても聞いてもらえず、未経験でも可能な「営業職」を複数紹介された。ひどいときには、ブラック企業を紹介された。

という選手もいました。

人材紹介会社は、企業側からお金をもらい、企業の採用業務を代行することで収入を得ています。また求人サイトは、企業がお金を払い掲載している広告サイトです。なので、求人サイトに書かれている内容は、企業の良い面だけが書かれています。

このような点を念頭に、「アスリートの自分には、どのような求人を紹介してもらえそうか」という、情報を得るために活用するとよいです。

個人のキャリアコンサルタントに相談した場合

個人のキャリアコンサルタントである私が、アスリートから引退後のキャリアについて相談を受けた場合、次のようなステップで支援をしています。

1. 現状を詳しくヒアリング(現状把握)
2. 個人の価値観、個人的事情、個人の興味関心の明確化(自己理解のサポート)
3. 世の中には、どのような仕事が存在するかを情報提供(仕事理解のサポート)
4. 個人の事情・目的・特性に合った「職業」や「働き方」を情報提供
5. 実際にどのような求人があるのかを探し情報提供
6. アスリートが「自分の価値観」に照らし合わせ、選択できるようサポート
7. 応募書類の書き方、面接での受け答え等のサポート
8. 仕事をスタートしたあとのフォロー
※そのほか、パソコン等のスキル習得のサポート

キャリアコンサルタントの私個人の考えを押し付けるのではなく、あなたの価値観を明確にし、多くの選択肢があることを情報提供したうえで、あなた自身が合理的に判断できるようにサポートします。

※人材紹介会社で「キャリアコンサルタント」と名のっている人は、国家資格をもつキャリアコンサルタントとは異なります。本来「キャリアコンサルタント」は、国家資格をもち、登録をしている人だけが名のれる独占名称ですが、人材紹介会社で仕事を斡旋する人の名称を、「キャリアコンサルタント」と呼んでいる人材紹介会社が多いようです。

以上、選手が引退後のキャリアについて「誰に相談するか」のメリット・デメリットをご紹介しました。