これまで「スポーツ選手は、メンタルが強い」というイメージを持たれていましたが、近年、メンタル不調により競技活動を一時休止する選手や、過去のメンタル不調を告白する選手の例が見られるようになりました。
一般企業では、「労働安全衛生法」が改正され、すでに2015 年 12 月から、労働者が50人以上いる事業所では毎年1回、全ての労働者に対しストレスチェック検査を実施することが義務付けられました。
スポーツ界においても「選手のメンタルヘルス(心の健康)」を意識することは、とても重要な課題ではないかと思います。
その理由は、
●競技生活では身体の負傷が起こりやすい
●常に強い緊張とストレスを受け続けている
●良い試合結果・勝利を常に求められる
●周囲の期待が大きくプレッシャーが強い
●メンバー争いなど日々心労がかかる
●監督・コーチ・ファンから罵倒されることもある
このように、アスリートの皆さんは、一般企業に勤める人たち以上に、精神的なダメージを日々受けやすい環境であるからです。
プロ野球界では、ロッテ球団が、約2年前の2020年から「心のケア」を本格的に導入したとニュースで目にしました。
順天堂大学医学部付属順天堂医院、同付属浦安病院と連携し、選手全員に対してストレスや自律神経の定期的チェックを取り入れているのだそうです。
スポーツ界でも、メンタルヘルスを重視したチームや選手が高い戦績を残すようになれば、今よりもっと「選手のメンタルヘルス」への意識が高まっていくのではないでしょうか。
専門機関と連携して本格的に取り組むことができればもちろんベターですが、そこまではいかなくても、定期的にストレス診断を簡易的に行ったり、近年、企業が成果をあげるために取り入れている「1on1のミーティング」などをチームでも取り入れ、選手の不安や不満を傾聴し、共感する場をつくるだけでも、十分な効果は得られると思います。
小さなことからでも選手のメンタルヘルスに対して、できることに取り組んでもらえたらうれしいですね。
また、チームや競技団体に期待するだけでなく、選手個人が自分自身でメンタルヘルスの知識を学び、取り入れることはすぐにもできることです。
とくに、不安や悩みは、利害関係者であるチーム関係者には、なかなか素直に話せないことが多いため、できれば、外部のマイ・カウンセラーなどを見つけておき、定期的に「ガス抜き」ができるようにしておくのもお勧めです。
相手の話を全て肯定的に受け止め、共感を示す「傾聴スキル」をもっているキャリアコンサルタントも、感情を吐露する相手として適している1人です。
最近、競技に対して、明らかにやる気が落ちている
気分が沈みがちで、なかなか回復しない
悪いほうにばかり考えてしまう
こういった状況が続いている選手の方は、まずは気軽にコンタクトしてみてください。
誰かに自分の悩みを話すことには「カタルシス効果」という癒し効果があります。
ただし、自分の話を否定する人、考えを押し付けてくる人に話をした場合は、逆にストレスが増幅してしまいます。
誰に話すのか、メンタルヘルスでは、相手を選ぶことも重要なポイントです。
また、心の健康を保つには、ちょっとした変化に気づき、早期に対処することが最も大切。
ぜひ、今のうちから気軽に相談できる相手を見つけておくとよいですね。